母の自己効力感を高めるペアレンティングプログラムの開発

母の自己効力感を高めるペアレンティングプログラム第2版の開発


研究期間:2009年度~2010年度
研究課題番号:21592820

 我々は2007年より育児不安・困難に悩む母親に対して、カナダで開発されたペアレンティングプログラム「Nobody's Perfect(以下NP)」を実施し(第一段階)、その評価研究から出た課題を解決するために、フォローアップNPを展開(第二段階)、さらに、乳幼児の母の子育て支援ニーズの実態調査結果から、NP参加の母がグループの枠組みを超えて新たに集まり、テーマを決めて話し合う「親育ち・子育ちを考える会」と、母の希望が多かった、子どもと離れて自由に過ごす「どろっぷインルーム」等を設けた(第三段階)。本研究では「母の自己効力感を高めるペアレンティングプログラム第2版」として新たに設けた、二段階目と三段階目のプログラム内容の評価結果と、子育て支援ニーズの実態調査の結果を報告した。

 


 


母の自己効力感を高めるペアレンティングプログラムの開発


研究期間:2006年度~2008年度
研究課題番号:18592377
カナダの子育てプログラム「Nobady's Perfect」の枠組みを活用し、育児不安や困難に悩む母を対象としたプログラムの開発をめざしている。プログラムのねらいは、(1)エンパワーメント(自己効力感を高める等)(2)サポートし合う仲間づくり(3)自分の考え方・感じ方を前向きに吟味する(4)子育ての自分に合ったやり方、あるいは自分の長所を見つける(5)育児不安・困難感・イライラが軽減する、の5点。 2007年2月から実施してきた6クールのプログラムに参加した母のうち、研究への協力の得られた38名と、これらの母と年齢、子どもの人数・発達段階がほぼ同じの母38名(対照群)にプログラムの効果をみるための質問紙調査を実施。結果の分析からわかったのは、(1)プログラム参加の母の「抑うつ」と「敵意・怒り」の各得点、子育ての自己効力感の各因子得点が、プログラム前に比べて直後(または1か月後)に有意に変化、好転していた。(2)プログラム参加の母の「抑うつ」「当惑」「自己効力感」得点のプログラム前後の変化が、対照群の母の得点変化に比べて有意に大きかった。(3)育児で困惑することが、プログラム参加の母ではプログラム実施前に比べて3か月後に有意に少なくなっていたが、対照群では変化がなかった。(4)プログラムへの参加により、ものの考え方や感じ方、態度、行動が変化した者、新しい子育てのやり方を知った者が多かった。以上より、プログラムのねらいの効果を確認。これまでの評価結果とプログラムの実践経験を基に、プログラムの実施マニュアルを作成した。一方、不変のこともあり、ファシリテーション等の課題もある。「仲間づくり」は長期的にみていく必要ある。また、母の実情に合った生活密着型の子育て支援機能を備えた施設検討の一資料として、韓国の産後療養院を視察した。

http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/18592377

「Nobody's Perfect 親育ち支援プログラム」の育児不安や育児困難に悩む母への実施と評価


育児困難を抱える母親の心理と虐待予防の援助システムの関する研究


研究課題番号:15592287, 研究年:2003-2005
子どもの虐待予防・重症化予防のために、関連職者が育児困難や虐待傾向に気づくための視点を明らかにし、精選されたリスクのアセスメントガイドを作成することを目的に、以下の2つの取り組みを行なった。結果の概要を示す。

1 育児困難や虐待を抱える母親がどのような思いで不適切な対応に至るのかについて、これまでに育児困難や虐待不安に悩んだことのある母親にインタビューし、3パターンがわかった。(1)子どもの反応が「母親の子ども時代の傷つき体験」または関連事項を想起させる場合。(2)「子ども時代の傷つき体験」とよく似た情緒体験をした場合。(3)"きれて"衝動的に対応する場合。自分の人格がそのときだけ変わったように感じ、苦悩が深い。罪悪感と自己否定感が強い。

2 育児における不適切な対応の実態と関連する要因について、夜泣きなどの育児困難場面を経験した母親に質問紙調査をし、376名の回答を得た。

1)思いきり叩く・暴言を繰り返し言ううことが『よく』または『時々』あるのが41.5%、このうち『よく』行う者が24名。

2)暴言・暴力の重症度、重症化リスク(虐待不安を軸に分類)と有意な関係があったのは、子どもを育て難い、関わるのが困難、子どもや自分の両親との関係がストレス、愛着性向(インターナル・ワーキング・モデル;IWM)得点であった。このことから、これら4要因と「このままだと何をするかが怖い」という虐待不安が、不適切な対応のリスク判断に有効ではないかと考えられた。 http://kaken.nii.ac.jp/ja/p/15592287/2005/3/ja