「赤ちゃん登校日」授業

平成22年度より、鳥取大学准教授高塚人志先生、財団法人いしかわ子育て支援財団、及び「赤ちゃん登校日」授業開催校と協働し、その有効性に関する研究を行っております。

「赤ちゃん登校日」授業とは?

鳥取大学医学部准教授 高塚人志先生が創設された人間関係構築力を学ぶ学習プログラムです。「他者に『関心をもち』=『あいさつを交わし』→『みる』ことの大切さ→『きく』ことの大切さ→伝えることの大切さ」のコミュニケーションの基礎を学ぶことが大きな柱となっています。詳細は、高塚人志先生のホームページよりご覧下さい。また、石川県での実施状況については、いしかわ おやコミ.net! (いしかわ子育て支援財団)よりご覧下さい)。

【授業を体験した児童への効果に関する研究】  風間邦子 博士前期課程(修士)

平成23年度修了論文題目:乳児との関わり体験学習「赤ちゃん登校日授業」が児童の親性に及ぼす効果-親性を構成する乳児への好意感情・自尊感情・共感性の授業前後の変化-

要約本研究では「赤ちゃん登校日授業」が児童の親性、すなわち乳児への好感情、自尊感情共感性に対してどのような効果をもたらすのかを明らかにするため、授業前後の質問紙調査を実施した介入群188人、コントロール群19人の全員により回答があり、有効回答数は介入群82人(有効回答率43.6%)、コントロール群12人(有効回答率63.1%)だった。その結果、「赤ちゃん登校日授業」によって乳児への好意感情が好転することがわかったが、自尊感情と共感性(情緒としての共感・行動面からみた共感)を高めるまでには至らなかった。今後は「ふりかえり授業」や「赤ちゃん親子との関わり方法」などを工夫することによって、自尊感情や共感性を高めるための授業を展開していくことが必要とされ、親になるための教育としての「赤ちゃん登校日授業」が位置づけられることが示唆された。

【赤ちゃん親子として授業に参加した母親への効果に関する研究】 成田みぎわ 博士前期課程2年 

参加者の母親へ授業前後にアンケート調査を行い、「赤ちゃん登校日」授業への参加における母親への効果を明らかにすることを目的とし、研究を行っています(現在、分析中)。

【関わり体験後の「ふりかえり授業」での学びに関する研究】 伊達岡(和田)五月 

 小学生への「赤ちゃん登校日授業の実態」とその有効性に関する研究(若手研究B)

赤ちゃん親子との関わり体験後の「ふりかえり・わかちあい授業」での学びを体験学習サイクルに基づき、質的帰納的に分析を行っています(現在、分析中)。ふりかえり授業で使用されるワークシートは「パートナーの表情をよく見ることができたか」等の10項目(6段階リッカート)の質問と、「赤ちゃんとの関わりをふり返って」「お母さんとの関わりをふり返って」「仲間(クラスメイト)の関わりをふり返って」「自分自身を振りふって」の4つの自由記載の項目に分かれており、この4つの項目毎に分析結果を整理しています。以下に、一部の結果を掲載しました。

①パートナーのお母さんとの関わりを振り返って児童が学んだこと
 a.「母は赤ちゃんが言葉を話せなくても気持ちがよく分かっている」という学び(図3)
 b.「母は赤ちゃんを大切にしているから家族も大切にできる」という学び(図4)
 c.「母は家事や育児で毎日大変だが、それを乗り越えていてすごい」という学び(図5)

              

今回の結果を見ると、ふりかえり授業での学びは、「関連づけ」で止まっていることが多かった。お互いの体験を共有し、そこから学ぶときには、「関連づけ」は他者の経験を自分に引き寄せて「自分だったらどうするか」「どう思うか」と考えることによって、他者のものの見方や対応に触れ、新たな気づきや吟味・学びにつながる。そして、その学びを次に応用してやってみることによって発展していく。今後は、このような体験学習の思考プロセスを促すような授業のファシリテーションを行うことによって、お互いの体験を共有した学びがより深まると期待される。